ジェンダーギャップを考える: 公平な株式報酬

ジェンダーギャップを考える: 公平な株式報酬

このところ、「多くの仕事は永久に変わってしまった」という記事がよく書かれ、企業はこの変化をいかに活用して、企業自身と従業員の長期的なメリットに変えていくかについて議論が活発に行われています。

こうした変化が良い方向なのか、誰のために良くなるのかという疑問はそれほど議論されていません。ハイブリッドワークを強いられたことで、多くの人が本当に恩恵を受けたことは疑いようがありません。しかし実際には、その変化からどの程度の恩恵を得られたかは、その人の裕福さ、人種、性別にかなり強く相関しています。

よくある話ですね。

全ての条件が同じならば…

新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延時には予期しない方法で(あるいは、見方によっては簡単に予想された方法で)不平等が悪化したことを示す研究がいくつか発表されています。

性別については、パンデミックによって、男性よりも女性の方が大きな影響を受けました。McKinseyおよびLeanIn.Orgが実施した調査によると、女性の4人に1人は、パンデミックの結果、有給の仕事の削減、または離職を考えています。失業者について言えば、女性は世界の雇用の39%を占めていますが、コロナ禍が始まってから現在に至るまでに失われた雇用の54%が女性です。

また、人種間にも巨大な不公平が見られます。リモートワークの可能性について見ると、ある米国の調査では、白人の30%、アジア系米国人の37%が在宅勤務のリソースを持っていたのに対し、ヒスパニックおよび黒人で在宅勤務をする十分なリソースを持っていたのはそれぞれ16%、19.7%に留まっていたことがわかりました。

 

株式報酬の男女間支払い格差

MacBookでHappyをブラウズしている女性たちの写真
                                                                男女賃金格差についてはよく語られますが、株式報酬の男女間支払い格差はどうでしょうか? 

それでは本題に入ります。こうしたリモートワークの格差は、株式報酬にも反映され、この状態はずっと変わっていません。

『Journal of Applied Psychology』で発表された最近の研究によると、職業や会社での勤続年数の違いなど、女性の所得が歴史的に男性よりも低い一般的な理由以外にも、株式を使った報酬のジェンダーギャップが15%~30%あります。

これは、男女賃金格差と非常によく似ています。欧州では、女性の給料は男性よりも時給にして17%少なく、米国では20%の格差があると推定されています。基本的に、男女賃金格差があるため、株式報酬にも同じようにジェンダーギャップによる格差があります。

株式報酬と人種について調査すると、ここにも格差は反映されています。統計をよく見ると、米国で2004年から2019年までの間に、株主への支払いのうち、約13兆ドルが白人家庭に、1,810億ドルが黒人家庭に支払われました。

 

株式報酬の支払い格差を解消するには、どうしたらよいでしょうか?

株式報酬の格差の解消をどのように始めることができるでしょうか? 一見(2度見ても)、こうした問題は社会的で、1つの会社が解決できるようなものではないように見えます。これは少なくとも部分的に正しいかもしれませんが、積極的にそれに取り組むことは、それを解決できる最善のステップでもあります。

1. 管理測定項目

まず、貴社の現行従業員株式および報酬制度に男女賃金格差や人種による格差があるかどうかを調べる必要があります。よく言われるように、「測定できないことは管理できない」ので、単なるデータ収集が強力な最初の一歩です。可能であれば、独立した仲裁人が、潜在的な偏見や政治的な要素が判定に反映されないようにします。

2. 積極的なポリシー

2番目のステップは、この不平等の是正を積極的に目標とするために、会社全体でポリシーを策定することです。現在の状況の説明と共有は神経を削ることもありますが、重要なことです。たとえ内部でも、問題があることを認めるのは恥ずかしいものですが、それをしないと問題は解決しません。

3. 公平なプランの設計

重要なステップは、貴社の従業員に報いるため、株式報酬制度がより公平になるように設計することです。特定の職務には「報酬バンド」を設定します。「報酬バンド」とは、新規に採用された人が人種や性別にかかわらず、自動的に同じ給与体系になることを意味します。

4. 取締役会の支持

もう1つのステップでは、取締役会の支持を得ることが必要です。必要な変化をもたらすことができるように、取締役と実務レベルの両方で擁護してくれる人を特定することが理想です。誰かが変化に最終的に責任を負わない場合、その変化は起こりません。

5. 精査と更新

最後に、精査と更新の継続的なプロセスが必要です。一気に格差を解消することはかなり大変であるかもしれません。そして、注意を払っていないと、常に元に戻ってしまう可能性があります。このため、擁護者は極めて重要になります。

 

これは、あなたにすべてがかかっているというわけではありませんが、その一部はあなたの責任です。

パンデミックによって、既に顕在化していた不平等の問題が悪化しました。こうした問題は、単一の組織で対処できるものではなくなり、言葉を借りるなら、『Equality begins at home(公正は身内から始まる)』という表現が当てはまります。

勤務先を働きやすい職場にし、全ての従業員が平等になることを積極的に求めているならば、株式報酬から着手するのは理想的であると言えます。

それはなぜでしょうか? 株式報酬は測定可能だからです。

測定できるという事実には、問題があればとても簡単に見つけることができる、具体的なアクションを取ることができる(成功を測定可能)、成し遂げたことをすぐにわかりやすい方法で伝達できる、という主に3つ利点があります。

貴社における性別や人種による株式報酬の格差(本当にそれが貴社に存在する場合)を解消し、公平にできれば、将来、最優秀な人材を採用、維持し、こうしたプロセスに関する成功談を語ることもできます。

さらには、世界をもう少し公平にすることができれば、(自宅でもオフィスでも)日々暮らしやすくなるでしょう。

 

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