持株会で従業員エンゲージメントを向上される

持株会で従業員エンゲージメントを向上される

あなたがスタートアップ企業の設立者、成長している中小企業の最高経営責任者(CEO)、または人事部長である場合、重要な役割を担っている従業員を失うことほど心配になることは、他にはそうそうないと思います。重要な役割を担っている従業員は、ビジネスを熟知していて、一緒に困難な時を乗り越えた、挑戦することを厭わない人です。

こうした人が退職すると、その人の持つ価値を失うだけでなく、交代要員を採用するコストがかかり、その間にも業務がたまってしまいます。

そこで3つの事実を検討してください。1つ目は、従業員の給与と福利厚生だけで、支出の40 – 80%を占めるのはビジネスとして正常です。2つ目は、社内で役員のポジションを埋め合わせるとなると、年間給与が最大213%になります。最後に、自己都合で退職する従業員数は、2010年以降で88%超増加しました。

従って、最大のコストは人件費です。私たちが所有する最も貴重な資産は人材で、人材はかつてないほど速く移動しています。

このため、従業員のリテンションやエンゲージメントの向上が企業の最優先事項となっているのも驚くことではありません。雇用市場はこれまでずっと、そしてこれからもずっと、競争が厳しくなっていくでしょう(特に、リモートワークによって、採用地域や勤務地域が拡大しています)。人事のリーダーはライバル企業と比べて有利な点を見つける必要があります。

持株会と株式報酬を導入すれば、人材を採用できるだけでなく、維持することができます。

 

株式報酬制度は、従業員のエンゲージメントやリテンションをどのようにサポートするでしょうか?

 

感嘆符のバランスを取ろうとしている男性
                                                株式報酬制度は、従業員を維持する優れたコスト効率の高い方法

それでは、大事な質問から始めましょう。従業員に株式やストックオプションを付与すれば、従業員は長期間在籍してくれるのでしょうか?

簡単に回答するなら「はい」ですが、1つ重要な条件があります。

2017年の研究「従業員株式オプションの従業員リテンション効果: 権利付与が集中する場合のエビデンスから」によると、「在籍による利益は、全体の福利厚生オプションに大きく貢献していました。これは権利付与コストを95-275%上回っていました。」とあります。これは言い換えると、企業は、従業員リテンションだけでなく、持株会を通じた投資収益率が少なくとも倍増する効果があるということです。

ただし(ここに重要な点があります)、その同じ研究では、権利付与後しばらくすると、参加者の離職率が倍増することもわかりました。 実際、一部の人々はその権利が確定するのを待ち、それに飛びついているのです。そうした人数は比較的少ないものの、この事実を無視しないこと(そして、それを会社に有利に変える方法をすぐ後で説明します)が重要です。

そのため、従業員ストックオプションは、従業員リテンションにとても大きな影響を与えますが、それ自体は特効薬ではありません。ライバル企業よりも競争で優位に立つために、より全体論的に考え、従業員のエンゲージメント向上戦略の一部とすべきでしょう。

 

従業員のエンゲージメントとリテンションを高める理由

私たちは、お金という足枷で従業員を壁につけておきたくはないでしょう。従業員が熱意を持って会社に残り、完全にその使命に協力して欲しいと思います。最近の言葉で言えば、従業員に「エンゲージ」してほしいものです。

今日は様々な事実をお伝えしましたが、もう少しご紹介したいと思います。ギャラップ社は、「State of the Global Workplace」レポートの中で、「従業員の85%が仕事に積極的にエンゲージしていない(当事者意識を持っていない)、または積極的にエンゲージしないようにしている」との結論を出しました。英国では、エンゲージしている従業員はわずか8%、欧州全体の平均は15%程度です。米国では、積極的にエンゲージしている従業員の比率は、やや印象的な30%に上昇します。

この2つを結論付けてつなげることは困難ですが、欧米のエンゲージメント統計と従業員の株式保有水準を比較するのは興味深いでしょう。欧州の後期スタートアップ企業では、従業員の持株比率は10%程度ですが、米国では20%です。

これが従業員エンゲージメントに重要なのはなぜか?

従業員リテンションだけに注目すると、エンゲージしている従業員のチームは、エンゲージしていない従業員ばかりのチームと比較すると、離職率が59%低くなります。しかし、これよりもっと重大なことは、これを拡大して見ると、従業員がエンゲージしている企業は、エンゲージしていない企業よりも21%収益が多いことです。

 

持株会で従業員エンゲージメントを向上させる方法

 

職場にて携帯電話で持株会のアプリを見ている女性

                                      持株会を活用して、従業員のエンゲージメントを向上させる方法がいくつかあります。

これで、従業員リテンションが極めて重要であること、持株会が従業員リテンションに関するコスト効率の高いソリューションである可能性があるものの、これはより大きな従業員エンゲージメント戦略の一部でなければならないことがわかりました。

次の質問は、持株会を使って、従業員をエンゲージさせるにはどうするかです。今すぐ始められる簡単な戦術を見てみましょう。

 

  1. 従業員に、デジタル株式管理プラットフォームで金銭的な報酬を見せる

株式報酬に関連して企業が直面する最大の課題は、株式報酬の利点を明確に伝えることであることはほぼ間違いありません。多くの場合、従業員は一定のフォームが入ったEメールを受け取り、それに記入し、その後は権利の付与日までオプションを全く目にしていません。

従業員がアクセスできるデジタルプラットフォーム(Global Sharesなど)を使用すれば、従業員はいつでも含み益を確認でき、より現実的に感じることができます。株式を所有する文化を醸成し、従業員に各自が社内に保有する有形資産を表示することで、従業員と会社の関係が強くなります。認知度を高めるために透明なデジタルプラットフォームを使用することが重要で、一貫したメッセージを通じて、会社の株式の保有に関する正しい行動を促進する一助にもなります。

例えば、弊社のプラットフォームでは、従業員は自身が所有している株数、まだ行使していない権利、付与された権利を行使することを選択した場合の株式の価値を確認することができ、プラットフォームを通じてオプションを行使したり、権利の付与を受諾したりすることができます。

従業員が利益を見ることができれば、会社はそれがもたらす効果から恩恵を受ける可能性が高いでしょう。

 

  1. シナリオモデリングツールを通じて、会社の将来の財務予想を表示する

スタートアップ企業や成長中の中小企業では、制度の対象となる従業員はシニアマネジメントチームの一員であることがよくあります。その従業員は、会社にとって最も貴重な従業員であるため、その従業員リテンションが最優先事項になります。

株式報酬戦略を活用して、こうした上層部のシニアリーダーをエンゲージさせる際、会社は将来の見通しや、それがその従業員の目標をどのように整合するかを明確に示す必要があります。

ここで、シナリオモデリングが必要になります。シナリオモデリングツール(弊社のプラットフォームにあります)を使用すると、新しい資金調達策が会社に与える影響、バリュエーション、投資、ポストマネー、希薄化などを正確に表示します。

以前は上層部の従業員に会社の将来を説明する必要があったかもしれませんが、シナリオモデリングツールを使えば、従業員が自分で見ることができます。ハードデータを通じて将来を可視化する機能は、上層部の従業員に、これからも頑張ろうという安心感(そして期待感)を与えます。

 

  1. 権利付与日前後に従業員エンゲージメントを向上させる

研究によると、人々は節目となる誕生日(29歳、39歳、49歳など)に至る最後の1年に、人生を振り返り、変化を起こしたいかどうかを検討することがわかっています。この時期に転職の必要を決断する人もいることを、スマートな企業は熟知しています。

この自然な本能を抑えるため、会社の幹部は自社の39歳の従業員と面談し、将来どのようなことを希望するか、それを達成するために会社はどのように支援できるかについて話し合います。こうして、会社はその人が起こす変化においてポジティブな役割を果たすようになります(実際に会社に対する忠誠心が強くなります)。

全く同じレベルというわけではありませんが、会社は権利の付与日についても同じように考える必要があります。権利の付与日に関して、会社はこうした従業員(特に上層部)と関与し、会社がその従業員の計画の中心であり、その従業員の目標をサポートできることを確認しなければなりません。

最も強力な従業員エンゲージメント手法は、1対1の面談です。権利の付与日に合わせて個人面談をスケジュールし、その従業員に予定される権利の付与日が面談内容の一部になるようにします。ラインマネージャー(または部門リーダー)に、その面談中に、次の株プランやストックオプションについて面談者に説明するよう奨励し、ラインマネージャーが説明するための正確な情報を提供します。

このような個人面談以外では、インタラクティブなグループワークショップ、過去の成功談の共有、Eメールの啓蒙キャンペーンなど、従業員のエンゲージメントを維持する方法はいくつかあります。

ここで非常に必要なことは、正しい心構えです。契約がもうすぐ切れる大口顧客を維持するために注ぐ労力について考えてみてください。株プランを通じて優秀な従業員を維持しようとお考えであれば、同じような思考が必要になります。

 

従業員のリテンションとエンゲージメントを向上させるために業務とコストの面で効率が高い方法

受け身の従業員持株会でも、従業員を維持するコスト効率の高い方法ですが、戦略的なエンゲージメントにそのレイヤーを追加すると、真の価値が生まれるのを弊社は見てきました。Global Sharesのデジタル株式管理プラットフォームなどの最新ツールを使用すると、企業のあらゆるレベルの人々がエンゲージし、勤続し続けて、将来を楽しみにする明らかな理由となります。

注意:本出版物には一般情報のみが含まれており、Global sharesは本記事を通じて、法務、財務、税金関連、ビジネス関連、専門分野などのアドバイスを提供するものではありません。Global sharesアカデミーは、専門的なアドバイスの代わりとなるものではなく、その目的で使用すべきではありません。Global sharesは、本書に記載された情報を信頼したことによる結果に対して、一切責任を負いません。

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